物理06 コイルの周りの磁界


【※ 動画があります。その1「磁界の模様→磁界の向き→鉄粉の片付け」】

【※ 動画があります。その2「切替スイッチの操作」】


 コイルのまわりの磁界の観察の実験です。
 昔からある実験なのですが、きれいな磁界の模様を作るのはなかなか難しいところがあります。厚紙などで作った自作の実験器具は耐久性に問題があります。市販の実験器具もありますが、なかなかいいものがありません。そこで、磁界の模様が満足に表れ、しかも耐久性のある実験器具を自作しました。ポイントはある程度の大きさが必要であるということです。実験器具の大きさは一辺が30㎝ありますが、重ねてコンパクトに収納できるようになっています。また、コイルの巻き数を多くすることも重要で、0.5㎜のエナメル線を70回巻いています。


【材料】   
ア 硬質塩ビ板 「アクリサンデー サンデーシート 300mm×300mm 板厚 0.5mm 透明」ホームセンターやアマゾンで購入できます。
イ 角材 305×40×15(2本)、275×40×15(2本)
ウ エナメル線(ホルマル線)0.5mm
エ ステンなべ小ねじ(M3×40)2個、ナット2個、ワッシャー4個(下写真参照)
オ Y型圧着端子 1.25-B3A 2個(下写真参照)
カ 両面テープ(幅5mm) 
キ 方位磁針(オイルコンパス) 9個 100均(ダイソー)
ク 鉄粉 キシダ化学株式会社 0.3mm(50メッシュ) 磁界の観察にはこれがいいです。ケニスで購入できます。500gが2500円

 


【作り方】

1 コイルを作る
・350mLのビールの缶に0.5mmのエナメル線を70回巻き付けます。
・ビニールテープでとめて、下写真のような正方形にします。
・横に付けたビニールテープが、塩ビ板に開けた穴に引っかかるようになっています。ビニールテープを貼る位置に気をつけてください。(下写真参照)
2 木枠を作る
・硬質塩ビ板が300×300mmの大きさなので、木枠はそれよりもわずかに大きく、305×305mmになるように作ります。
・木枠にはねじで端子を付けておきます。
3 硬質塩ビ板に穴を開ける
・塩ビ板に 6㎜ の穴をあけます。穴の間隔は穴の中心から中心までが 61mm になるようにします。穴は竹用ドリルで開けます。普通のドリルやポンチなどで開けようとすると塩ビ板が割れる場合が多いです。技術室にあるボール盤を使って、塩ビ板の下に捨て板を敷いて穴を開けてください。 
「スターエム 竹用ドリル 6  601-060 827円」は、竹やアクリル、塩ビなど、割れやすい材にきれいに穴を開けることができます。ゴム栓などに穴を開けるときにも便利です。木材に開けるときも使いやすいです。
・穴と穴の間にカッターで切れ目を入れます。ある程度切れ目を入れたら、爪で押すようにするとうまく割れてくれますが、ここのところが一番失敗しやすいので、慌てずに慎重にやってください。
4 木枠に塩ビ板を取り付ける
 机に置いた塩ビ板に、両面テープを貼った木枠を押しつけるようにして取り付けます。塩ビ板よりも木枠の方がわずかに大きいので、机に鉛筆で目印(ガイドライン)を引いておくとやりやすくなります。
5 塩ビ板にコイルを取り付ける
・塩ビ板にあけた穴にコイルを取り付けます。0.5mmのエナメル線を70回巻いたものが6mmの穴にピッタリ収まります。すき間からコイルを斜めに差し込むようにして、片方ずつ入れるようにします。
・エナメル線の皮膜を剥いでY型端子を取り付け、ねじで作った端子に取り付けます。
6 鉄粉をまく容器をつくる
 ガーゼとフィルムケースで作ります。フィルムケースがない場合は「ウチダス ニューカップバイアルびん 容量50mL 10個入 612円」などで作ります。
7 コイルに電流を流し、磁界の模様をつくる
・鉄粉は台からこぼれるので、あまり端の方まで蒔かないようにします。
・電流を1A程度流して、台を軽くたたくと磁界の模様が現れます。
・下にA3の用紙を敷き、その下に新聞紙等を敷いておくとこぼれても後片付けが楽になります。
 ※ 動画がこのページの最初のところにあります。
8 電流の向きを切り替える
 電流の向きを変えて、磁界の向きが変化するのを観察します。
 切替スイッチを使うと、瞬時に電流の向きを切り替えることができます。(6Pトグルスイッチを使って自作したものです。電気ブランコの実験などの時にも使えて便利です。) 

 


【その他】地球に磁力の影響を受けるので、装置を置く向きを南北方向にすると、方位磁針のさす向きがよりきれいになります。