物理09 直線電流の磁界 

 
 60芯導線(パスカル電線)を使って導線に大電流を流せば、直線電流の周りの磁界を観察したり、導線の周りにくぎをつけたりすることができます。
【動画1】直線電流の周りの磁界(パスカル電線使用)
【動画2】導線の周りにくぎをつける(パスカル電線使用)


1 直線電流の周りの磁界
 60芯導線に大電流を流すと、同心円状の磁界が現れます。

 
 この装置の秘密は下写真の「電流増幅回路」と書いてある木箱の内部にあります。

 まず、60芯導線の1本1本に番号をつけます。そして1番の導線に電流を入れると反対側から電流が出てきますが、その電流が2番の導線に入れるように半田付けします。そして2番の導線から出てきた電流が3番の導線に入るように半田付けします。同様にして、60本の導線がループ上になるように半田付けします。外目には1本の太い導線があるように見えますが、実は大きなコイルになっているのです。このような電線は「パスカル電線」と呼ばれています。
(パスカル電線は、京都市青少年科学センターの杉原和男先生の発案で、授業実践の中心となった研究グループ「パスカル京都」がその名前の由来となっています。)
 そして、半田付けした部分が見えないように木箱に入れて切替スイッチを取り付けてあります。切替スイッチを操作することにより、電流を入り切りしたり、向きを変えたりできるようになっています。

 この導線に2Aの電流を流すと、2A×60=120A の電流が流れていることになります。このような工夫により、1本の太い導線の周りに同心円状の磁界ができたように見せることができます。また、方位磁針を並べて、磁界の向きを表すこともできます。
 方位磁針は100均のオイルコンパスを使用しています。オイルコンパスを使うと動きがスムーズでわかりやすいです。

 
 板にはくさび形の切れ込みが入っており、導線を通した後に幅広のピニールテープでふさぐようにしています。

 


2 導線の周りにくぎをつける
 60芯導線を使うと、導線の周りにくぎを付けることもできます。電流を切るとくぎが落ちます。

 


3 コイルの周りの磁界(パスカル電線使用)

20芯導線(パスカル電線)を使ってコイルの周りの磁界を観察しました。
【動画3】コイルの周りの磁界の模様(パスカル電線使用)
【動画4】コイルの周りの磁界の向き(パスカル電線使用)


 20芯導線(パスカル電線)を穴を開けたアクリル板に取り付けます。「スターエム 竹用ドリル」を使うと、竹やアクリル、塩ビなど、割れやすい材にきれいに穴を開けることができます。
 私は自作の切替スイッチを間に入れています。6Pスイッチ(ON-OFF-ONタイプ)を使って、電流を切ったり入れたり、電流の向きを変えたりすることができるようにしています。

 
 鉄粉をまいて2A程度電流を流し、軽くアクリル板をたたくと磁界の模様が現れます。
 また、方位磁針を置くと磁界の向きを調べることができます。