化学02 イオンの移動


 東京書籍では、ストローと寒天を使った実験から、ろ紙を使う実験に変更になりました。(上図参照)
 以前より準備は簡単になりましたが、ろ紙を薬品でどのくらい湿らせるかなどの調整が難しいところです。各薬品の使用量を明確にしてみました。


【準備物】 

うすい塩酸(5%)
 精製水350mLに濃塩酸50mLを加える。

うすい水酸化ナトリウム水溶液(5%)
 水酸化ナトリウム24gを精製水450mLにとかす。ほっておいても一晩すればとけるが、劇薬のため保管場所に注意すること。

食塩水(5%)
 精製水380mLに、試薬の食塩20gをとかす。(水道水だとBTB溶液の色が変わるので、精製水を使うこと。)

ろ紙(No.1のうすいろ紙を使用)
 5cm×7cm 1枚
 4cm×3cm 1枚 2か所に印(下図参照)

スチレンボード(白色)
 6cm×8cm 厚さ5mm 1枚
 ダイソーなどで購入できる。厚さは5mm程度の方が、カッターで切りやすい。


BTB溶液
 点眼びんに入れておく。
 
ポリスポイト 
ペトリ皿(60mmφ程度) 
目玉クリップ(2個)
綿棒(2本) 
プラスチック手袋 
ピンセット

 


【実験方法】

1 スチレンボードの上にろ紙(5cm×7cm)を置き、食塩水を1mL滴下してろ紙全体を湿らせる。食塩水の量は、多すぎても少なすぎてもうまくいかないので注意すること。

2 ろ紙(4cm×3cm)をペトリ皿の上に置き、BTB溶液を6滴落として全体を緑にする。(市販のBTB溶液をうすめずにそのまま使用する。食塩を入れる必要はない。)

 

3 BTB溶液の染み込んだろ紙を、ピンセットでろ紙(5cm×7cm)の中央に置く。(手で持つと黄色くなるのでプラスチック手袋をさせるとよい。または、ピンセットを2つ用意する。)


4 ろ紙(5cm×7cm)の両側(できるだけ端の方)に目玉クリップを付けて電圧をかける。電圧は強い方がよい。今回は20Vで行った。スチレンボードはペトリ皿の上に置くと安定する。(下図参照)

5 電圧を加えたら、すぐに、○印のところに綿棒でうすい塩酸とうすい水酸化ナトリウム水溶液を付ける。(うすい塩酸等はビーカーに少量入れ、綿棒の先がつかる程度でよい。たくさん入れると綿棒に付きすぎてよくない。)

 


【結果】

薬品を付けた直後
2分後
4分後
6分後
8分後

【その他】

 BTB溶液を染み込ませたろ紙の陰極側が青く変化してくるが、これは食塩水が電気分解されるためである。青く変化するのを防ぐために、ろ紙の横幅を長くすることも考えられるが、実際にはあまり効果がなかった。イオンの移動が遅くなるので、ろ紙の長さは7cm程度でよい。

 ポリスポイトの目盛が正確かどうかは、1mLの目盛まで水を吸い込んで、その水を電子てんびんに落として質量をはかるとよい。2種類のポリスポイトで調べたところ、1つは1mLで、もう一つは1.1mLだった。1.1mLでも問題なく実験できた。

 BTB溶液のついたろ紙を土台のろ紙にうまく乗せるのが難しい。素手で触ると黄色くなってしまうので、プラスチック手袋とピンセットを使って行うとよい。

 この実験をすると目玉クリップがさびやすい。ネットなどでステンレスのクリップも売っているが、陰極側が青くなることに加えて、陽極側も黄色になってしまう。さびるのは良くないが普通の鉄製のクリップを使用する方がよい。