化学08 試験管に入る電極
電解質・非電解質を調べる電極です。スリムで試験管に入るため、少ない溶液で実験できるのでとても便利です。
市販のものを購入してもよいのですが、ステンレスのスポークを使えば簡単に自作することができます。
【材料】
ア 自転車のスポーク(ステンレス)
SENQI自転車 ステンレスススポーク 282mm 36本 1,800円 をアマゾンで購入
イ 角材
マホガニー 6×6×900mm 130円程度 をホームセンタで購入
長さ 200mmに切ったものを使用する。
ウ ビニールテープ(透明)
【作り方】
1 スポークを20.5cmに切る。
2本の長さをそろえるには、まず2本をマスキングテープで止めておいて、2本同時にペンチではさんで、軽く切り込みを入れる。2本同時に切断するのは無理。切り込みにそって、1本ずつペンチで切断する。
2 角材を20cmに切る。
細工用のこ、クラフトのこがあると便利。(オルファ(OLFA) クラフトのこ 125B 945円)
3 スポークを角材に取り付ける。
スポークは角材よりも6cm出す。
ビニールテープを引っ張りながら強く巻いてとめる。
【使い方】
スポークにミノムシクリップつき導線を取り付ける。(スポークの先が曲がっていて釘の頭のような形状をしているので、ミノムシクリップがとめやすい。)
溶液に電極部分をつけて調べる。(18cmの試験管に溶液を4mL入れる。)
【収縮チューブを使った場合】
収縮チューブ(直径8mm ELPA PH-468H)を使うと、市販の製品なみにきれいにできます。
収縮チューブの長さは13cm。
【その他】
1 熱収縮チューブを収縮させるときは、ヒートガン(熱風機)を使います。収縮チューブが短いときはドライヤーでもできますが、今回は13cmと長いせいもあり、ドライヤーでは十分に収縮させることが難しかったです。ヒートガンは写真のような置いて使えるものが便利です。(
石崎電機製作所 SURE プラジェットミニ 小型軽量熱風機 PJ-M10 9,480円)
2 ステンレスの針金を使ってつくることもできますが、ミノムシクリップがとめやすいことと、真っ直ぐであることから、ステンレススポークを使った方がよい。
3 市販のものとしては、ステンレス製のものが2本組で1200円。「白金めっき付チタン」のものが2本組2000円で売られています。
【電流を流すとうすい塩酸や食塩水が黄色くなるわけ】
結論としては、黄色く着色したのは,電極として用いたステンレスから溶けだした鉄イオンのためである。
食塩水溶液にステンレスを浸して電流を流すと,マイナス側のステンレス板(負極)では水が分解して,水素ガスが発生する。一方プラス側(正極)では,塩化物イオンから塩素ガスが発生する。
プラス極ではさらにステンレスの主成分である鉄の反応も少しおこり鉄イオンが生じている。この鉄イオンが黄色い色をしています。この現象は溶液中に塩化物イオンがあるほどよくおこります。
ステンレスの表面には、ステンレスに含まれるCrが空気中の酸素と化合してできた酸化クロムによる不導体膜が形成されている。この不導体膜によって内部まで錆が進行することを防いでいる。しかし、塩素イオンは、不動態皮膜を破壊する上に皮膜の再生も阻害するため、壊れた皮膜の箇所で腐食が進行する。
これを防ぐためには、白金めっき付チタン電極を使うなどの方法が考えられるが、「水溶液が黄色くなるのは、電極の鉄が溶け出すことがあるから」という説明を加えればとくに問題ないと思われる。
私の場合、食塩水は1gの食塩を60mLの水に溶かしたものを使用しており、その濃度は2%未満である。塩酸は5%のものを使用している。食塩水では黄色になるのがほとんど気にならない。塩酸についてはやや気になる程度である。