化学09 ロウの状態変化

 


 液体のロウが固体のロウに変わるとき、体積は小さくなりますが質量は変わりません。この実験、普通はビーカーにロウのチップを入れて行います。初めてやるときはいいのですが、2回目からはへこんだ状態で固まったロウから始めなくてはいけないので、いま一つです。固まったロウをとかしてビーカーから取り除いてもいいのですが、大変な労力が必要です。
 しかし、耐熱ガラスのプリンカップでやればその心配はありません。固まったロウはすぐに取り出すことができるからです。


【材料】
ア 耐熱ガラスのプリンカップ
 iwaki(イワキ) 耐熱ガラス プリンカップ 100ml KBT904 265円 をアマゾンで購入。

イ ロウのチップ
 パラフィン(ろう)粒状 P-4213 融点58℃ 1kg 1650円を りかもーるで購入。(1gが約1.5円)
 アマゾン等、ネットで購入すると3kgを3000円程度で購入できる。(1gが約1円)
 市販のろうそくからチップを作ると1gが2円程度になるので、やめたほうがよい。


【実験方法】
1  耐熱ガラスのプリンカップ(100mL)にロウのチップを45g入れる。カップを含めた全体の質量は120g程度になる。

 

2 ガスバーナーでロウをとかす。45gのロウをとかすのに7分程度かかる。
  ロウが全部とけたらすぐ火を止める。すぐに素手で持つのは無理だが、軍手をすれば持てる。

 

3 上皿てんびんにのせて質量をはかる。プリンカップをのせる皿には厚紙などを敷いておく。


4 冷えて固まったら、体積の変化や質量の変化を調べる。

 

5 固まったロウのはずしかた
 プリンカップの場合、口が広がっているので簡単にとれる。底の部分がカップに張り付いてとれない場合があるが、カップを右手で横向きに持ち、左手の手のひらにぶつけるようにすると、カップの中のロウが横にずれて空気が入り、はずせるようになる。(下写真参照)(裏向きでぶつけたのでは外れないので注意!)


【ロウの再利用】
 手間や値段を考えるとロウは毎年購入するのがよいが、再利用することもできる。
1 IH調理器を60~80℃に設定して、フライパンでロウをとかす。
2 とかしたロウをクッキングペーパーで作った箱に流し込んで固める。
 (ロウの板が厚くなると割りにくいので、一度に溶かす量は90g程度にする。)
 ※ 火災等にならないように十分注意しておくこと。

 


【授業展開について】
 液体のロウを固体のロウにするためには、空冷した場合、固まり始めるのに12分後ぐらいかかる。30分立っても2mm程度しかくぼまない。氷水で冷やしても固めるのに12分以上かかるので、実験結果を予想させたりしていると、すべての内容を1時間の授業に納めるのは難しい。
 私は、1時間目は事前に固まったものを用意しておき、それを見せて体積が小さくなることだけを示すようにしている。そして、質量が変わらないことについては、次の時間に確認するようにしている。

【実験で使用するはかりについて】
 私は、この実験の時には、上皿てんびん、または、0.1gまではかれる電子てんびんを使用している。質量が変わらない実験では0.01gまではかれる電子てんびんは使用しない。理由は0.01g程度の変化が起こってしまうことがあるからである。誤差の範囲といえばその通りかもしれないが、感覚としてはいま一つである。 
 0.01gまでの精度を必要とするのは、マグネシウムや銅が酸素と結びついた時の質量の変化を調べる実験の時だけである。そこで、最近は0.1gまではかれる電子てんびんを購入するようにしている。値段も安価である。
 
 なお、0.01gまで計れる電子てんびんについては、安価なものは、再現性や直線性に問題がある場合があるのでよくない。安いものを何台も買うよりも、高くても正確なものをみんなで使う方が良い。値段はやや高いが、音叉式の電子てんびんは目盛がちらちらしないので使いやすい。教材カタログでは、ケニス理科機器 電子てんびん RJ-1200 72,600円 (ViBRA 新光電子株式会社製)などがある。
 また、教材カタログには出ていませんが、ViBRA 高精度電子天びん(防水・防塵型)CJ-820 約90,000円 もお薦めです。新光電子の音叉式てんびんの新型です。この電子てんびんは、目盛がすぐに安定するだけでなく、最小読み取り単位を切り替えて表示させることができます。実験内容に合わせて、最小表示を0.01gや0.1gなどに切り替えて使うことができます。