化学12 炭酸水素ナトリウムの分解

 


 炭酸水素ナトリウムの分解は化学実験の定番中の定番といったところです。しかし、加熱前の炭酸水素ナトリウムと加熱後の炭酸ナトリウムの性質を比較するところは、なかなかうまくいかないときがあります。加熱後の炭酸ナトリウムのほうが水によくとけるはずですが、逆にとけにくかったりします。
 そこで、簡単に分かりやすく結果を示せる方法についてまとめてみました。


【材料・準備物】
・炭酸水素ナトリウム 
・計量スプーン0.8cc(アマゾン等で購入できる。下写真参照)
 〔写真上〕GSIクレオス Mr.スプーン&スティック は 0.1cc、0.3cc、0.8cc が各3本はいっています。
 〔写真下〕259円で1本です。100個入りで2500円程度でも売っています。
・メスシリンダー(10mL用)


【実験方法】
1 炭酸水素ナトリウム(0.8cc)を試験管に入れ、加熱して分解する
 最近の教科書では水上置換で発生した気体を3本の試験管に集めて、マッチの火を近づけたり、火のついた線香を入れたり、石灰水で調べたりするようになっていることが多いのですが、簡略にするため、直接石灰水に発生した気体を入れるようにしています。
 このとき、炭酸水素ナトリウムを少なめの 0.8cc にして、石灰水は 50mL ビーカーに 30mL 入れるようにします。これで白くにごった石灰水が透明にもどるのを防ぐことができます。(炭酸水素ナトリウム 0.8cc は 約0.9g です。)

 

2 塩化コバルト紙で調べる
 水ができたことを塩化コバルト紙で調べます。各班に、ジッパー式ポリ袋にシリカゲル乾燥剤と塩化コバルト紙を入れたものを配ります。(ポリ袋に入れてから3分ほどで青くなります。ドライヤーで乾燥させる必要はありません。)実験直前にピンセットで袋から出して使用します。シリカゲル乾燥剤はレンジで加熱して再利用できるものが便利です
・Across 再利用できるシリカゲル乾燥剤 10g×30個入り 1,780円 (下写真参照)
・システムポリマー ジッパー式ポリ袋 4-B クリア 0.04×60×85mm 100枚入 545円 (下写真参照)

 

3 炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムの比較
 実験でできた加熱後の炭酸ナトリウムは、固まっていて水にとけにくいので、粉末の試薬を使います炭酸水素ナトリウムはスーパー等で食用のものを売っています。無水炭酸ナトリウムは教材カタログやネットで購入できます。 
① 炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムを0.8ccずつ試験管に入れて、各班に配付します。(上記で紹介した計量スプーン等を使って事前に用意しておきます。)
② 水を試験管に5mL入れてよく振ります。炭酸水素ナトリウムはとけ残り、炭酸ナトリウムはすべてとけます。
③ フェノールフタレイン溶液を1または2滴入れます。 


【その他】
ア 上記のやり方でやると、炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムの水へのとけ方の違いがはっきりするのですが、実はごまかしている点もあるのです。それは両者の密度の違いです。0.8ccの炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムの質量を測定してみると、炭酸水素ナトリウムは0.9g程度なのに対し、炭酸ナトリウムは0.5g程度しかありません。
イ 粉末の薬品を計り分けて試験管に入れるのが面倒ですが、下のようなものを利用すると便利です。あっという間に計り分けることができます。
・すり切り棒つきビーカー ビーカーに、100均のステンレス製の洗濯ばさみを使って、ガラス棒や割りばしを取り付けます。使ってみると分かりますが、とても便利。小学校の実験などにもおすすめです。
・PP製粉末ロート 仕様型番:No.171 口径60mm 足外径15mm 足外径が15mmなので18×18の試験管にピッタリです。送料などがかかってちょっと高いのですが、他の実験にも使えて時短になります。

ウ 塩化コバルト紙の保存にはデシケーターやドライボックスをよく使います。デシケーターもいいのですが、ふたの開け閉めが面倒なので、100均(ダイソー)の密封ボックス(700円)を使ってドライボックスを作ってみました。乾燥剤は、コンセントに差し込んで再生できる「モバイルドライ」が便利です。ケニスなどで購入できます。