化学19 銅と硫黄の化合


 銅を硫黄の気体の中に入れて、硫化銅にする実験です。
 鉄と硫黄の化合は、生徒実験として行っている学校が多いと思いますが、銅と硫黄の化合については、教科書の写真を見せてすませているのではないでしょうか。簡単な実験ですので、ぜひ演示実験でやってみましょう。赤く輝く様子を見て「お~」と盛り上がります。
 ただし、簡単とは言っても、硫黄の量や銅板の厚みなどを適切にしないと、うまくいきません。できるだけ詳しく書きましたので、実施される方は参考にしてください。

【動画:銅と硫黄の化合】
【動画:銅と硫化銅の違い】


1 準備物
・銅板 厚さ0.5mm 幅8mm 長さ20cm
・硫黄 1.0g
・試験管 18mm×18cmのもの
・ペンチ るつぼバサミよりも普通のペンチの方がしっかりつかめるのでよい。
・金切りばさみ 直刃 技術室にあると思います。 

2 実験方法
① ホームセンターやネットなどで、厚さが0.5mm、大きさが20cm×20cm程度の銅板を用意する。(幅が20cmのものを購入するようにする。)
② 銅板の表面を覆っている保護用のビニールに、油性ペンで8mm間隔に線を引く。
③ ②の線に沿って、金切りバサミで切る。厚さが0.5mmなので楽に切れる。ビニールがはがれることもない。
④ 18mm×18cmの試験管に1.0gの硫黄を入れる。(多すぎても少なすぎてもよくない)
⑤ 試験管の底とガスバーナーの間は7cm程度開ける。
⑥ ガスバーナーで加熱すると、硫黄がとけ、茶色の気体に変わっていく。試験管の半分ぐらいまで茶色の気体が上がってくるのを待つ。
⑦ 銅板を入れる。銅板を加熱してから入れる必要はない。銅板はペンチでしっかりと持つ。
⑧ すぐに反応が始まらないが、しっかりと待つようにする。最初に銅板の上にとけた硫黄がまとわりつくような感じで泡だったようになる。それが治まると銅板の下部が6cm程度赤くなる。
⑨ ⑧で赤くなった部分が治まって黒くなったら取り出すが、あわてて取り出さないようにする。その上の部分がさらに赤くなってくる場合があるが、そのときもあわてずに取り出したのでよい。
赤くなったら銅板を試験管の壁につけないことに細心の注意を払うようにする。壁につけるとくっついてはずれなくなるからである。
⑩ 銅板を出すときに煙が出てにおいがするが、銅板をそのまま試験管に入れっぱなしで冷やすと、硫化銅の表面が黒くなってしまう。多少の煙やにおいは仕方ないので、途中で外に出す方がよい。
⑪ 硫化銅が冷えるのに時間がかかるので、事前に作ったもので結果を見せるようにする。力を加えると銅は曲げたり伸ばしたりできるが、硫化銅はポキンと折れてしまう様子を見せる。十分に冷えていない硫化銅で実験すると、ポキンと折れないことがあるので、事前に作っておいたもので実験する方が絶対に良い。

 


3 その他
・以前、この実験は、硫黄の気体の中に熱した銅板を入れるようになっていた。しかし、銅板を熱してから入れる必要はない。熱すると反応が激しくなりすぎて、銅板が崩れ落ちてしまうことが多い。
・この実験では、銅線ではなく銅板のほうがよい。銅線で行うと、外側は硫化銅になるが中心部に銅が残ります。そのため、全体がポキンと折れずにつながってしまう。
・もし、実験中に銅板が試験管の壁にくっついてしまったら、慌てずにガスバーナーを遠ざける。冷えてから、銅板を横にひねるようにするととれる。しかし、硫化銅の表面が黒くなってしまうので今一である。失敗しないように練習しておくこと、また、壁につけないように細心の注意をはらうことが大切である。
・硫黄は1.0gにすると、ちょうど銅板と化合して、ほとんど硫黄の液体や気体はなくなってしまう。硫黄を多く入れると、余った硫黄の気体が銅板の上のほうまで赤くして、そこから銅板が崩れ落ちそうになるのでよくない。0.8gも試してみたが少なすぎた。1.0gがちょうどよい。
・硫化銅は電気の良導体で電流が流れる。そのため、電流を使って別の物質になったことを確かめることはできない。
・演示実験として見せる場合、理科室の中央より後ろに座っている生徒は、中央の位置まで出てきて並んで立って見させるようにしている。また、同時にiPhoneのカメラを大型テレビにミラーリングして、実験の様子を拡大して見せるようにしている。このことで、実験全体の雰囲気と拡大した映像の両方を見ることができる。iPhoneを固定するスタンドはいろいろと試してみたのだが、以下の製品が使いやすいのでよく使っている。

・エレコム(ELECOM) タブレット用スタンド TB-DSZARMFBK 3,817円 アマゾン
 タブレット用なので、スマホをはさみにくいのが難点だが、揺れてもすぐに減衰するので扱いやすい。下の部分の棒が2本になっているからかもしれない。軽いのもいいです。似たようなタイプでスマホ用のものも持っているのですが、揺れたときに減衰しにくいので、こちらを使っています。これでスマホ用のやつがあったらベストなんですけどね。
・サンワダイレクト WEBカメラ/スマホ用 俯瞰撮影スタンド 200-DGCAM028 2,230円 アマゾン
 軽くて机の上で移動させやすく、扱いやすい。机の端にクランプで固定するタイプのものは動かせないので微調整しにくく、意外に使いにくい。
・lapset スマホホルダーB(新型) 990円 アマゾン
 安いけど、つまんだら広がるようになっていて使いやすいです。