化学20 スチールウールの燃焼(1)
スチールウールの燃焼です。通常、この実験を行う場合、スチールウールをガスバーナーの火で加熱しておいて、素早くストローで吹いて燃やします。しかし、なかなかうまく燃やせない生徒がいるのではないでしょうか。ストローで吹くのが間に合わなかったり、何度もやり直すうちにスチールウールの外側だけが真っ黒になってしまったり・・・。内部までしっかり燃焼させることができないと、燃焼後のスチールウールに電流が流れてしまいます。
しかし、ターボバーナーを使えば、簡単に燃焼させることができます。
【動画:スチールウールの燃焼①】
【動画:スチールウールや酸化鉄に電流が流れるかどうか。】
【準備物】
・スチールウール
ボンスター ロールパッド 12個入り 299円 ボンスターがちぎりやすくて扱いやすいです。
・ストロー
100均で購入 ①できるだけ長いもの(下写真のものは210cm)曲がるストローの場合じゃばらの部分を伸ばして長くします。②息やつばきでくもるといやなのでクリアよりも色つきのほうがよい。③配付しやすい個包装のものがよい。
・るつぼばさみ
・アルミのおぼん
・ターボライター
着火バーナー(ターボ) TK-SF4 高森コーキ 理科ウチダスで購入できます。ソフトタッチで使いやすいですが、値段が高いのが難点です。CR機能で押しボタンが重くなっていますが、同様のものが100均でも手に入ります。ガス注入式であっても、本体の調子が悪くなることもあるので100均の安価なものの方がよいかもしれません。


【実験方法】
① 反応前のスチールウールの質量を測定しておく。
② るつぼばさみでスチールウールの端をつまむ。
③ ターボバーナーで加熱する。
落としたときのことを考えて、アルミのお盆やアルミ箔を敷いておく。
④ 赤くなったところをストローですぐさま吹いて空気を送る。
⑤ 反応後の質量を測定する。(アルミのお盆に落ちた分もすべて回収して測定すること。)
④ 燃焼させていないスチールウールとと反応後のスチールウールに電流が通るかどうか調べる。
このとき、ミノムシクリップをスチールウールに押し当てて電流が流れるかどうか確かめることが多い。しかし、ミノムシクリップではさんでしまうと、燃焼後のスチールウールにも電流が流れてしまう場合がある。これは、内部に十分に燃焼していない部分が残っていることがあるためである。
そのようなことを防ぐため、私は下写真のようなものを使用している。ステンレス製の板ではさんで調べるようにさせている。このとき、板状のものにするのがポイントである。なぜなら、棒状のものにすると、燃焼後のスチールウールに突き刺すようにしてしまうことがあり、その場合も電流が流れてしまうことがあるからである。
下写真は、左が燃焼前、右が燃焼後のスチールウールである。
【その他】
ア 上写真のように豆電球を使って調べる場合、豆電球は抵抗の大きいものを使う方が明るく光るので結果が分かりやすくてよい。例えば、「2.5V、0.5Aの豆電球」と「2.5A、0.3Aの豆電球」の場合、「2.5V、0.3A」の豆電球のほうがよい。これはスチールウールが抵抗となってしまうためである。同じ量の電流が流れた場合、抵抗が大きい豆電球の方が明るく光る。
イ 以前は、スチールウールを酸素の入った集気瓶内で燃やして、二酸化炭素が発生しないことを石灰水で調べるという実験がありました。しかし、現在はこの実験は教科書に掲載されていません。なぜなら、石灰水が白くにごってしまうからです。原因は、スチールウールが純粋な鉄ではなく、炭素鋼でできているからです。約0.2%の炭素を含んでいます。なお、ボンスターはコーティングなどはされていなので、そのせいで二酸化炭素が発生しているということはありません。
ウ スチールウールの燃焼後にできる酸化鉄は、酸化鉄(Ⅲ)Fe2O3、四酸化三鉄 Fe3O4 などの混合物である。ネットで検索すると「伊藤信良,田村 仁,”スチールウールの酸化反応”,化学教育,33,260(1985)」の論文がありますが、それによるとFe2O3が大部分となっています。