化学27 塩化コバルト紙の変化後の色は、赤色?桃色?ピンク色?


 塩化コバルト紙の変化後の色は何色でしょうか。「桃色」「赤色」「ピンク色」……テストの採点の際、〇・✕・△のどれにすべきか迷ったことはありませんか。
 実は、塩化コバルト紙の変化後の色は教科書会社によって異なります。東京書籍では「水に触れると桃色に変化する」とされていますが、それ以外の教科書会社では「赤色に変化する」となっているのです。
 では、ベネジクト液の変化後の様子はどうでしょうか。「赤褐色の沈殿ができる」は〇にするとして、「赤褐色になる」「黄色や赤褐色になる」「緑や赤褐色になる」などはどうでしょうか。赤褐色の読みは「せきかっしょく」でしょうか、「せっかっしょく」でしょうか。
 今回は、こうした教科書会社による色の表記の違いについて調べてみました。

 なお、(備考)として私個人の基準を記載しましたが、採用している教科書や担当教員の考え方によって採点基準は異なるかと思います。あくまで私個人の見解としてご参考になれば幸いです。


1 塩化コバルト紙の変化後の色

啓林館 赤色
東京書籍 桃色
大日本図書 赤くなる。
学校図書 うすい赤色
教育出版 赤色(桃色)
「桃色」の方が少数派のようです。東京書籍が「桃色」を採用している理由についてメールで問い合わせたところ、次のような回答をいただきました。
塩化コバルト(水和物)の色についてですが,『理化学辞典 第5版(岩波書店)』では淡赤色,『化学大辞典(東京化学同人)』ではピンク色,『化学便覧(丸善)』では赤色と,文献によって表現が異なっています。 色の識別とその表現についての判断は難しいところですが,弊社では,実際に実験を行ったときの塩化コバルト紙の色味に近い表記をとっている『理化学辞典』や『化学大辞典』の記述を採用し,中学生にもわかりやすい表現として「桃色」としております。(中学生では「淡」がわからないこともあると考えました。)ただし,化学便覧にある通り,赤でも決して間違いにはならないと考えております。

(備考)本校では東京書籍の教科書を採用しており、これまでは採点時に判断に迷うことがありました。しかし、今後は「赤色」や「ピンク色」などもすべて正解として扱うことにしました。
 なお、「淡赤色」の読みは、音声訳・点訳関連のサイト「音訳の部屋」によると「たんせきしょく」とのことでした。


2 ベネジクト液の変化後の色

啓林館 黄色や赤褐色(せきかっしょく)に変化する。放置すると赤褐色の沈殿ができる。
東京書籍 赤褐色(せきかっしょく)の沈殿
大日本図書 赤褐色(せきかっしょく)の沈殿
学校図書 赤褐色(せきかっしょく)になる。
教科書の後ろの「基本操作」のページに「麦芽糖などの量によって、うすい緑・うすい赤褐色・濃い赤褐色になる」の記述もある。
教育出版 赤褐色(せっかっしょく)に変化し、沈殿を生じる。

(備考)本校では東京書籍の教科書を採用しており、「赤褐色の沈殿ができる。」が模範解答になりますが、「赤褐色になる。」「黄色や赤褐色になる。」なども正解として扱うことにしました。ただし、「黄色になる。」「うすい緑色になる。」は不正解として扱うことにしました。

下は、実際のだ液の実験結果の写真です。左から順に
A デンプン+だ液+ヨウ素液
B デンプン+水+ヨウ素液
C デンプン+だ液+ベネジクト液
D デンプン+水+ベネジクト液
となっています。




3 フェノールフタレインの変化後の色と性質

  炭酸水素ナトリウムをとかした水 炭酸ナトリウムをとかした水
啓林館 淡い赤色
弱いアルカリ性
濃い赤色
アルカリ性(加熱前よりも、より強いアルカリ性になる。)
東京書籍 うすい赤色
弱いアルカリ性
赤色
強いアルカリ性
大日本図書 赤色になる(わずかに変色)
弱いアルカリ性
赤色になる(はっきりと変色)
強いアルカリ性
学校図書 うすい赤色
弱いアルカリ性
赤色
強いアルカリ性
教育出版 うすい赤色
弱いアルカリ性
赤色
強いアルカリ性

(備考)総合的に考えると「うすい赤色・弱いアルカリ性」と「赤色・強いアルカリ性」の組み合わせが模範解答になると思いますが、「濃い赤色」等も正解として扱うことにしました。  


4 酸化銅を還元してできた銅粉の色

啓林館 赤色
東京書籍 赤色
大日本図書 赤い物質
学校図書 赤色
教育出版 赤茶色

(備考)実際に実験を行ったときの色は「赤茶色」のほうが近いと思いますが、「赤色」が主流となっているようです。
本校では東京書籍の教科書を採用しています。実験した際に「実際の色は茶色っぽいですが、テストでは赤色で答えてください。」と説明し、「赤色」のみを正解としています。

 


【その他】
色の識別や表現の判断は難しいため、色見本を掲載しているWebサイトなどを参考にしてください。ただし、色見本は参照する資料によってばらつきが大きいため注意が必要です。さまざまなサイトがありますが、一例として「カラーサイト.com」などが参考として挙げられます。