生物10 水中の微生物「田んぼの水の観察」

定番の観察ですが、観察に適した水を得るのはなかなか大変です。
私は、しろかきをした後の田んぼの水を観察しています。
【採集の仕方】
5月上旬から6月の中旬にかけて、田んぼのしろかきが行われます。しろかきをした後、天気がよいと、田んぼの水の表面に面に緑や赤の泡ができます。その泡をひしゃく等を使って集めます。極端に泡ばかり集めるとドロドロした感じになってしまうので、泡と水が半々ぐらいの感じで採集していきます。採集した水は、しばらくすると水面に浮かんだ泡と、下に沈んだモヤモヤに分かれます。どちらの部分をとっても、微生物(ミドリムシやアメーバ、ケイソウ、ユードリナ、ワムシなど)を観察することができます。
田んぼの水の泡は、うす緑のもの、赤いもの、ベージュのものなどいろいろありますが、どれがよいかは実際に見てみないと分かりません。また、含まれている微生物の種類も異なります。いろいろな箇所でいろいろな状態の泡を採集しておき、その中から状態のよいものを3つ程度選んで観察するとよいでしょう。私の今までの経験からは、泡がびっしりと厚く集まっているところよりも、薄く広がっている緑がかった泡を集めるのがよいと思います。下の3つの写真のような状態のところよいと思います。


【動画:田んぼの水 1】
【動画:田んぼの水 2】
【動画:田んぼの水 3】
【動画:田んぼの水 4】
【動画:アメーバ】
【動画:ツリガネムシ】
【動画:ナベカムリ】
【動画:ミドリムシ】
採集してすぐに見ることができればそれが一番きれいですが、できないときは水槽用のLEDライトで光を当てておきます。私は前日の放課後に採集して、一晩中LEDライトを当てておき、翌日に観察するようにしています。LEDライトは、太陽の光に比べると弱いので、水が入った容器にできるだけ近づけておきます。
LEDライト(下写真)は、この実験のためだけに購入するのは高いように思いますが、オオカナダモの光合成やタンポポの呼吸と光合成などの実験にも使えますので、あると便利です。


【観察方法】
スポイトで、表面に浮かんでいる泡やモヤモヤを水と一緒に取ります。モヤモヤを取り過ぎると見づらいので、水の中にモヤモヤが少し入っている程度にします。下に沈んでいるモヤモヤを取ってもかまいません。
私は水を取るときには、下写真のような、自作の一滴スポイトを使用させています。ストローの部分をつまんで離すと、水がストローに少しだけ入ってきます。それをホールスライドガラスに落として各班に持ち帰ります。普通のスポイトで取らせると、水を吸い込みすぎてしまうので、大勢で次々に取ると水全体がにごってしまいます。普通のスポイトは洗うのも大変ですが、一滴スポイトはストロー部分を使い捨てにできます。
ストローは100均で買った直径5mmのもの、キャップはアマゾンで購入しました。(uxcell 端末保護キャップ エンドキャップ 5mm 50個 619円
税込)

【その他】
・最もよい状態の水は、1日経っても泡が消えません。なくそうとしてもなくならないくらい丈夫な泡となっています。泡がなくなったときは、下に沈んだモヤモヤをとって観察します。
・泡の部分を取って観察する場合、スライドガラスに落とした段階で水に泡ができてしまいます。つぶそうとしてもなかなか消えません。これはティッシュをとがらせて泡をつつくと消えます。
・ミドリムシは、葉緑素という緑の色素とヘマトクロームという赤い色素をもち、細胞内の色素の分布によって鮮やかな赤色になったり、緑色を帯びたりします。田んぼの赤色の泡を採集すると、赤くなったミドリムシを観察することができます。