生物05 道管の観察


 ヒマワリやトウモロコシに食紅などを吸わせて、道管の様子を観察する実験です。昔からある定番の実験ですが、うまくいったり、いかなかったり。専用の「植物染色剤(道管観察液 ファンタジー)」などもありますが、食紅でも十分に観察できます。(なんといっても食紅は値段が安い。色水を700mL作っても200円しません。)
 実験のポイントは濃い色水を使うことだと思います。濃すぎると枯れてしまうのではないかという気持ちから、どうしても薄めに作ってしまいがちですが、思い切って濃い色水を使うことが成功のポイントになります。4日目には枯れてしまいますが、それまでに観察すれば問題ありません。
 もう一つのポイントは色水を吸わせる前に、水切り(水中で茎を切ること)をすることです。


【実験方法】

1 色水をつくる 
 色水は、食紅を5.5gを700mLの水にとかしてつくります。(ペットボトルに水と食紅を入れて振ってとかすと便利。)私は、共立食品の「食用色素 赤」を使っていますが、1箱全部入れることになります。「こんなに入れて大丈夫か、濃すぎやしないか」と思うところですが、実際にはこのぐらい濃くしないとうまく染まりません。

2 植物の用意
 植物はヒマワリとユリを使います。教科書ではトウモロコシになっていますが、栽培しておく必要があり面倒です。ヒマワリとユリならお店で簡単に購入することができます。ただし、ユリは茎が固いのが難点です。トウモロコシなら生徒で切片を作れますが、ユリの場合は教師で切片を作っています。ヒマワリは生徒で大丈夫です。
 茎は必ず水切り(水中で茎を切ること)をしてから色水につけます。これをしないと、うまく水を吸い上げてくれません。また、根はつけない方がうまくいきます。

3 色水につける
 色水につけて48時間後~60時間後に観察するようにします。72時間をすぎると、枯れてしまうことが多いし、道管のまわりの部分が染まり始めるので、くっきりとした感じのものを観察することができなくなります。
 具体的には、木曜日に観察するのなら、月曜日の夕方または火曜日の朝に色水につけるようにします。

 

4 双眼実体顕微鏡で観察する
 カッターで切って切片をつくり、双眼実体顕微鏡で観察します。下図は最初の2枚がヒマワリで、後の2枚がユリの結果です。下図は切片をカメラで直接接写した物ですが、双眼実体顕微鏡で観察するときは、下の板をすりガラスにして、下からの照射だけにするときれいに見えます。下からの照射ができないときは、白い板で上から照射するとよいと思います。

 

5 トウモロコシの茎の観察
 トウモロコシで観察する場合には、事前に栽培しておく必要があります。しかし、トウモロコシは茎がやわらかく、切片を作りやすいという長所があります。下図は、トウモロコシで実験した結果です。

 

 下図はトウモロコシとヒマワリを栽培している様子です。種子は1つのプランターに15個程度植えるようにします。あまり密植すると、特にトウモロコシのほうが茎が太くなりません。
 なお、ヒマワリは茎が長いので、1本で5班ぶんぐらい取ることができますが、トウモロコシは外見は大きくても内部の茎は短いので1~2班分しか取れません。トウモロコシはできるだけ余裕を持ってたくさん育てておく必要があります。
 4月中旬に種子を植えた場合、6月の中旬には、下図程度になります。トウモロコシは茎の太さ1.2~1.5cm、高さ50~60cm(ただし内部の茎は短い)、ヒマワリは茎の太さ0.7~0.9cm、高さ90cmになります。