小学校07 食塩やミョウバンが水にどれぐらいとけるか(5年生)
水温を上げると、食塩やミョウバンはどれくらいとけるようになるのか調べる実験です。
定番の実験ですが、なかなかうまくいかない実験の一つではないでしょうか。まず、60~70℃のお湯でビーカーを湯煎しますが、その湯温を保つのがかなり難しいです。結論からいうと、満足に実験したいなら温度設定のできるIHコンロが必要です。最近は教材として「理科実験用IHコンロ ナリカ 19,250円」などがありますので、それを購入するとよいでしょう。1℃単位で30~90℃まで温度が設定できます。
以下の内容は「ドリテック DRETEC 卓上IH調理器 DI-106 BK2」を使った令和元年度の実践です。このコンロは60℃、80℃、120℃、140℃、160℃、180℃、200℃、220℃の8段階の定温調理ができます。実験では60℃に設定して実験を行いました。現在この機種は廃盤になっていますが、後継機種が出ています。「理科実験用IHコンロ」とそっくりなモデルもありますので、上記の製品はドリテックの製品を実験用に改良したもの(1℃単位で温度設定できるようにしたもの)だと思われます。
【準備物】
食塩
試薬の食塩でなくてもかまいませんが、にがりの成分が少ない「食塩(塩化ナトリウム99%以上)」と表示のあるものにする。
ミョウバン 硫酸アルミニウムカリウム12水和物(粉末)= 生ミョウバン(きみょうばん)
小学校の実験で使うのは焼きミョウバン〔AlK(SO4)2〕ではなく生ミョウバン〔AlK(SO4)2・12H2O〕の方である。焼きミョウバンは、生ミョウバンを加熱して結晶水をなくしたもので、水に溶けにくい。
今回の実験では、はやくとける粉状のものを使用しました。私は下写真のものをアマゾンで購入しましたが、ネットで販売しているもののほとんどは焼きミョウバンですから、購入時には気をつけてください。粉末の「硫酸アルミニウムカリウム
12水和物」は、理科ウチダス等で購入できます。
計量スプーン 2.5cc
50mLの水にとかす場合、2.5ccのものが使いやすい。
食塩やミョウバンを入れる容器
ホームセンターなどで売っているふたのできる背の低いびんが使いやすい。
下写真では、100均のステンレス製洗濯ばさみとアクリル製のマドラーで作った「すり切り棒」を取り付けています。アクリル製のマドラーは楽天等で購入できます。アクリル製のマドラーがない場合は、丸箸や割りばし、プラスチック製のマドラーなどでもかまいません。ガラス棒は滑って落ちて割れたりするのでよくありません。
かくはん棒
上記のアクリル製マドラーやプラスチック製のマドラーが使用できる。教材カタログにもプラスチック製のかくはん棒が掲載されていますが、長すぎるものは使いづらいので注意が必要である。ガラス棒はビーカーが傷だらけになるので先にゴム管を付ける必要があります。
ビーカー 100mL
温度設定のできるIHコンロ
「理科実験用IHコンロ」なら1℃単位で温度設定できます。専用の鍋と収納ボックスのついたモデルもあります。安定性は鍋の方がいいと思いますが、フライパンの方が見やすいかもしれません。
【実験方法】
1 IHコンロにのせたフライパンに水を入れ、温度設定は60℃にしました。温度計を入れてみると、フライパンの中のお湯の温度は71℃になっていました。
2 とけ残りが出るまで2.5ccの計量スプーンで1ぱいずつ食塩やミョウバンを入れ、かきまぜ棒でかき混ぜます。
【結果】
①水50mLにとける食塩やミョウバンの量(2.5ccの計量スプーンにすりきり何杯とけるか)
水 温 | 食 塩 | ミョウバン |
あたためる前(9℃) | 9はい | 2はい |
あたためた後(71℃) | 10はい | 22はい |
上記の結果をgに換算すると下表のようになる。
(計量スプーン 2.5cc すりきり1ぱいの質量は、食塩が1.9g、ミョウバンが1.2g だった。)
② 水50mLにとける食塩やミョウバンの質量
赤字は実験値、(青字)は10℃と70℃の時の理論値
水 温 | 食 塩 | ミョウバン |
あたためる前(9℃) | 17.1g (17.9g) |
2.4g (3.8g) |
あたためた後(71℃) | 19.0g (18.9g) |
26.4g (55.1g) |
※ 理論値から見るとミョウバンはもっととけてもよかったと思うが、結果的にはミョウバンが計量スプーンに22杯とける程度となり、時間的にも量的にもちょうどよかった。
【その他】
実験中に湯温が下がる理由については、普通に冷めるということの他に、物質をとかすとその影響で温度が下がるということがあります。そのため、保温状態をよくしていても温度が下がることを防ぐことはできません。満足に実験したいなら温度設定のできるIHコンロが必要です。
今回の実験では、「DRETEC 卓上IH調理器 DI-106 BK2」の60°℃の設定のところを使いました。アマゾン等で現在のドリテックのIHコンロを見ますと下記の製品「DRETEC DI-217IHクッカー ピッコリーノ」があるようです。60~100℃まで5℃刻みで設定できるようなので、この製品でも可能かなと思います。ただ、最低温度設定が60℃なのでミョウバンがたくさんとけすぎて困るかもしれません。専用の「理科実験用IHコンロ」よりは使い勝手が悪いかもしれませんが値段は半分ですね。
【今後の課題】
今回は粉末のミョウバンを使用した。はやくとけるのはいいのだが、食塩と粒の大きさがそろっていない点は今ひとつである。粒が小さいとたくさんとけると思っている児童もいるので、注意が必要である。食塩と同程度の粒の大きさのミョウバンも教材カタログに載っているようなので、どちらのミョウバンを使用する方がよいかは検討すべき課題である。