化学03 鉄と硫黄の化合(実験方法)


 昔からある実験ですが、安全に行うには工夫が必要です。
 生徒が落ち着いて実験できるようにしてみました。
[実験1]12×120mmのミニ試験管を使用する。
[実験2]セロハンシートの筒を使用する。


[実験1]12×120mmのミニ試験管を使用する。

【準備物】 
鉄粉(300メッシュ) 4.7g
硫黄 2.7g
試験管(12mm×120mm IWAKI) 2本
 小さい試験管を使用する。薬品の量を少なくしても試験管が小さいとある程度の長さを確保できるので、加熱をやめても反応熱で化合が続くことを確認しやすくなる。
ターボライター
 試験管が小さいのでガスバーナーではなく、ターボライターで加熱して化合させる。100均でも手に入るが、CR機能で押しボタンが重くなっています。ネット等でソフトタッチのものを買うと使いやすい。(下写真:着火バーナー(ターボ) TK-SF4 高森コーキ ※理科ウチダスでも購入できます。

黒板用フェライト磁石
乳鉢 
薬品さじ
ろうと


【実験方法】
 300メッシュの鉄粉4.7gと硫黄2.7gを混ぜ合わせ、12×120mmの小さな試験管2本に半分ずつ入れる。試験管を机の上でとんとんとして、しっかりつめる。(つめ方がゆるいと、加熱したときに発生する気体のため、薬品が試験管の口の方に上がってくることがある。)
 ターボライターで混合物の上部を加熱して化合させる。化合が始まったらすぐに加熱をやめる。
 混合物と硫化鉄の違いを、やや磁力の弱いフェライト磁石を使って比較する。下の写真ではホームセンターで購入した黒板用のフェライト磁石を使用している。(100均の磁石は意外に磁力が強いので適さないことが多い。)試験管のまま調べると、硫化鉄は全く付かないのに対して、混合物のほうは引きつけられる。

化合している様子
【動画はこちら】
化合している様子
【動画はこちら】
鉄と硫黄の混合物は磁石に引きつけられる。
硫化鉄は磁石に引きつけられない。

 


[実験2]セロハンシートの筒を使用する。

【準備物】 
鉄粉(300メッシュ) 4.7g
硫黄 2.7g
セロハンシート 6cm×10cm 2枚 
 スマートスクールで購入〔カラーセロファン(透明) 32cm×44cm 5枚入り 154円〕
ターボライター  
棒磁石
 磁力が弱いもの。アルニコではない普通の鋼製のものがよい。なければ文房具店などで安価に購入できる。(このページの一番下の【追記】を参照。)  
ろうと (このページの一番下の【追記】を参照)
乳鉢  薬品さじ


【実験方法】 
 300メッシュの鉄粉4.7gと硫黄2.7gを混ぜ合わせ、セロハンの筒2本に半分ずつ入れる。
セロハンの筒に入れたら、机の上でとんとんとして、しっかりつめてからねじって止める。
 砂皿の上でターボライターで加熱する。
 混合物と硫化鉄の違いを、磁力の弱い棒磁石を使って比較する。(下の写真では学校にあった古い棒磁石を使用している。実験1で使用した黒板用フェライト磁石は磁力が強すぎる。)硫化鉄は全く付かないのに対して、混合物のほうは引きつけられる。

セロハンは6cm×10cmの大きさ、ボールサイン(直径は8.5mm)を使って筒状にする。10cmは長すぎるように思えるが、ろうとを使って混合物を入れるので、そのぐらいの長さはあった方がやりやすい。
筒の端をねじってとめる。セロハンの筒の長さは約9.5cmになる。
鉄と硫黄の混合物を入れて、机の上でとんとんとしてしっかりつめた後、ねじってとめる。
砂皿の上に置き、ターボライターで加熱して化合させる。
【動画はこちら】
鉄と硫黄の混合物(左側)と硫化鉄(右側)を磁石で調べる。
【動画はこちら】

・この実験ではアルミ箔の筒を使う場合が多いが、セロハンの筒を使う方が中身が見えるので実験しやすい、また、アルミ箔は磁石につかないという説明をする必要もなくなる。また、アルミ箔を決まった大きさに切るのは手間がかかるが、セロハンは間に紙が挟んであり、裁断機を使って重ねて切ることができるので準備も簡単である。
・ガスバーナーで加熱して、化合が始まってから砂皿の上に置くこともできるが、砂皿の上でターボライターで加熱して化合させた方が落ち着いて実験できる。

【追記】令和5年5月14日 
[実験2]について、上記では鋼製の棒磁石を使用しているが、後日適当な磁力の黒板用フェライト磁石が見つかったので、現在はそれを使用している。磁力がソフトで使いやすい。(コクヨ カラーマグネット 直径40mm 4個パック 赤 マク-40NR ¥374 下記写真参照。)

 

[実験2]で使用しているろうとについては、ガラス製の小さなものでもよいが、ダイソーで下記のようなものが売っており、使い勝手がよい。大中小の3個入り。小(ピンク)は口が比較的大きい割に足が細く使いやすい。