化学22 気体の性質(二酸化炭素、酸素、水素、アンモニア、窒素)

 中学1年生では、二酸化炭素、酸素、水素、アンモニア、窒素などを発生させたり、性質を調べたりします。
 基本中の基本ともいえる実験ですが、私は意外に難しいと感じています。安全上、薬品の濃度は低くしたいのですが、低くすると気体の発生がとてもゆっくりになってしまいます。また、学校を異動すると、薬品が変わるので、同じようにやってもうまくいかないこともあります。
 また、最近の教科書では、発生装置として三角フラスコを使わず試験管を使っているものが多くあります。水素はそれでよいのですが、二酸化炭素や酸素は十分な量の気体を得られないのではないでしょうか。
 そのような点を考慮して、私が実践している内容(薬品の種類や濃度、使っている器具等)を紹介したいと思います。


【実験方法】
1 二酸化炭素
2 酸素
3 水素
4 窒素
5 アンモニア


【その他】

 マイクロピペットの使用
 マイクロピペットがあると便利です。あっという間に正確に分注できます。

イ 実験の順番
 最近の小学校では、気体を薬品から作らずに、ボンベから得て実験しています。ですから、昔に比べて非常に手際が悪いです。そのため、気体を6本集められない班が多数あります。そのため、1回目の授業では、「二酸化炭素を発生させて何本集められるか」という内容で、発生と捕集の練習のみをさせています。
 2回目の授業では、二酸化炭素を発生・捕集させて、におい、色、可燃性、助燃性、酸性・アルカリ性、石灰水 などの性質を調べるようにしています。二酸化炭素から始める理由は、発生させたり、捕集させたりしやすいからです。
 3回目の授業で酸素、4回目は水素、5回目は窒素、6回目にアンモニアを行っています。
 5回目の窒素のところは演示実験にしたり、実験を省略して説明だけにしたりします。そして、二酸化炭素や酸素、水素の振り返りも行います。生徒実験にしないのは、試験管を乾かすためでもあります。
 試験管が乾いたら6回目のアンモニアを行います。

ウ 予備実験について
 塩酸を使う実験では注意すべき点があります。塩酸を精製水でうすめると温度が上がります。そのため、予備実験の時に、うすめてすぐの塩酸を使うと反応が進みやすくなります。実際の授業の時には温度が下がっているので、昨日の予備実験の時はうまくいったのに・・・」ということになりがちです。予備実験に使う薬品は、以前に用意して常温にしておかなくてはなりません。私は余った薬品を残しておき、次の年の予備実験に使うようにしています。
 また、過酸化水素水はうすめてから時間がたつと、だんだん酸素が抜けてきますから、その点も注意が必要です。
 
エ 酸性・アルカリ性について
 酸性・アルカリ性はリトマス紙、またはBTB溶液のどちらかで調べます。
 リトマス紙で調べるときは、下写真のような小さな密閉容器に入れて配付しています。容器を振るとバラバラになってピンセットで取りやすくなります。(下写真参照) リトマス紙を使う場合、1本目は色とにおい、2本目は可燃性、3本目は助燃性、4本目と5本目はリトマス紙、6本目は石灰水で調べるようになるので、合計6本分の気体を集める必要があります。

 BTB溶液で調べる場合は、15×15の試験管にBTB溶液を5mL入れて配付します。(シリコン栓はNo.1)
 1本目は色とにおい、2本目は可燃性、3本目は助燃性、4本目はBTB溶液溶液、5本目は石灰水で調べるようになるので、合計5本分の気体を集める必要があります。6本立ての試験管立ての場合、穴が1つ余るので、そこにBTB溶液の入った試験管を置くようにします。(下写真参照)  なお、BTB溶液は原液を精製水で12倍にうすめたものを使用します。


 ガラス管について
 二酸化炭素や酸素、水素などを水上置換法で集めるときは、先を短く曲げたガラス管を使うようにしています。曲がった部分の長さが2cm程度になっています。(下写真参照)曲げた部分が長いと、スムーズに連続して気体が出ません。
 曲げないで、まっすぐなままでもかまいませんが、捕集の時にやや集めにくくなります。

[先が短く曲がったガラス管の作り方]
① ガラス管を25cmに切る。
② 端から5cmのところに油性ペンで印を付ける。
③ ガストーチで加熱し、ガラス管の周りの炎が赤くなったら曲げはじめて、すぐに炎の外に出すして後半の曲げを行う。(長く炎の中に置くとまっすぐに曲げにくい。)角度は60°にする。
④ ガラス管切りでできるだけ短く切って、曲がった部分の長さが2cm程度にする。
⑤ 最後にガラス管の端をとかして処理する。(ガラス管は、一度加熱したところをもう一度加熱すると割れるので気をつける。)
(注) ガラス管は加熱部から5cmあれば軍手1枚で十分持てる。例えば、10cmのガラス管を半分に曲げて、曲がったガラス管を作ることができる。


 試験管について
 18×18の試験管を理科ウチダスで購入する場合、「日電理化硝子 試験管(NGC製リム付き)50本 5550円」と「IWAKI 試験管(リム付)50本 5000円」が選択できます。同じ18×18の試験管ですが容量が30mLと27mLになっています。これは、IWAKIの試験管は肉厚で試験管の内径がわずかに小さいためです。
 水中でゴム栓(黒No.2)をする場合、日電理化硝子の方がはめやすいです。日電理化硝子の場合、ゴム栓を小さい方を上にして沈めておけば、試験管をかぶせるようにして、そのままの状態でゴム栓をはめることができます。IWAKIの試験管でもできないことはないのですが、ちょと難しいです。
 IWAKIの試験管は肉厚なので、加熱時に変形しにくいところが優れています。例えば、私は、1年生の状態変化のところで、食塩をガストーチで強熱して融解させる実験(演示実験)をしていますが、そんな時はIWAKIの試験管を使っています。
 また、日電理化硝子の試験管は、ゴム栓がはめやすいのはいいのですが、いたずらな生徒が思いきりゴム栓を押し込むと試験管からゴム栓が取れなくなってしまうことがあるので注意が必要です。